人柄を金銭に変換する

都内はかなりコンビニが密集している。どこに行っても良さそうなもんだが、気がつくと暗黙のうちに特定の店にしか行かなくなる。私のようなライトユーザーは、どのコンビニいっても買うものは大差ない。品揃えで選ぶことの方がめずらしいのだ。では何を基準に選んでいるのかというと、店員さんの人柄だ。というと大げさだが、明らかに客をなめたバイトのアンちゃんや、いくらかわいくてもやる気なさそうなお姉さん、労働つらいですという風情の店長さんのいる店に行くとなんとなく気合を吸い取られるので、いつのまにか足が遠のく。どうせなら、こういう商売もまんざらでもないなという表情で働いている店員さんがいる店のほうがよい。(コンビニいって嫌なめにあうことなんてめったにないし、なんだかんだでみんな良い人っぽいから、これは程度問題。)
ここでいう人柄ってのは、人間を人間として扱うってこと、箱とかハラスメントからどれだけ遠いかという基準。
まあ当然のことかも知れないが、こういう基準でコンビニを選んでいる人は少なくなかろう。そしてこれはよく考えてみるとこれは店員さんのお人柄次第で売上が変わるってことなんじゃないのか。ここには強制された倫理観もくそもない。コンビニ業界のきつい競争と数量化の極致、ある種の最適化の果てに、数量化しずらく残っていた店員さんの人柄という謎の変数が競争上重要になってきているのではないか、ということ。


データもないし、印象だけで話してるから、内実はまったく違うかもしれないけど。


ここでいう「人柄」はざっくりしすぎだろうが、ようは人をモノとして扱うという「箱」度合いの逆数だから、言動やふるまいからみて案外定量化はしやすいんじゃないかと思う。(MD部隊が「耳の遠いおばあさん」エージェントを雇って、とんちんかんな問い合わせを店員さんにして、それに対する応対を集めて分析するとか。)そしてもしほんとに競争が激しく、品揃えその他の部分で差別化するのが難しくなれば、コンビニ業界の人なら人柄のよさとは何か、どういう風にそういう人を選び育成すればよいのか、おおまじめにかつ科学的に取り組むだろう。まともな店員さんを集めるのに、まともな労働条件とまともな店長さんも必要だろうから、、、と取り組みが続けば、業界もより儲かり、かつ皆がほんわかすることも不可能ではないのかもしれない。



これはこれで日本始まってるんじゃないかと思う。


inspired by 私の闇の奥